― 暫く後・聖蓮の領域 ―[柔らかな雨に蓮花が一斉に綻んだ宵、蛍火がその訪れを告げるとほぼ同時に、緋の獣の姿が目に入る>>205]雷華の…これはまた、突然だな。[と、言いつつも、闇桜の魔に対するより、若干態度が柔らかいのは、王華の選で従華たる銀の牙と相対した効用だったか]挨拶とはまた、らしくもなく殊勝なこと。[くす、と笑いつつ、見上げねば届かぬその顔を見つめ]傷はもう癒えたのか?[問う声には、確かに案ずる気配が混じっていた*]