[不意の問い。こちらを見上げる聖女の瞳は澄んだ琥珀をしていた。] 私は、[修復された男は、自らの内側を探る。神、と言う単語が浮かんだが、形骸と化した思い出に、その信仰の拠って立つ感情が想起されないのだった。沈淪の裡に掬い取ったのは、揺籃に繰り返し囁かれた言葉。最初の血を与えてくれた乳母の青年の冀求 。その念(ことば)が、血親への帰属と結びついて、巨大な空隙に入り込む。] ギィを守る為に在る。 私は彼の剣、 切り裂き、突き立ち、折れるを厭わぬ、ひとふりの剣だ。[かつて神への信仰を告白したと同じ声、同じ表情で、今はギィへの忠節を語る。]