― 回想、ヨアヒム処刑後オットーと。 ―
[身の上話しを聞かされてオットーは驚いた様だった。それも当然だった、このタイミングですべき内容ではなかっただろう。
父親が人狼だと疑われて殺されてしまったと皆にも知れ渡ってしまえば自分にも疑いの目。だからこそ秘密を隠し続けるのは今まで重荷に感じていた。氷漬けの遺体が発見されたと聞いた夜は明日には自分は人狼に変身しているのではないか、と怯えた。馬鹿げた妄想とは思いながらも。
打ち明ける事でアルビンは楽になりたかったのだろう、きっと。
オットーが自分から他人には口外しないと言い出す事を確信していたし、約束を破ると疑っていない。まさかオットーが狼に与する存在とは気付いていない。
例えば崖の上に呼び出されても何の疑いも抱かずに応じてオットーに突き落とされまでアルビンは騙されたままなのだろう。]