『あんさんの呪い……恩恵は、苦痛呪信《シンクロニシティ》。 苦痛の度合いは、あんさんの精神状態に大きく左右されるんや。 家出たばっかのあんさんなら、多分いつきはんが消えた瞬間泣き叫ぶくらい痛がったやろな。 今は随分安定しとるから、その程度の痛みで済んだんやな。 笑わしてくれはったあんちゃんに感謝やで?』(……うん。)『いつきはんのことは……まだ、“視え”んようやな。 呪いに慣れとらんせいやろから、じきに視えると思うで。』[紅苑へ「わかった」と頷いた頃には、会澤の家は目の前だったろうか。]