― 回想2:出立前 ―
……にしても、どーこ行ったんだあいつ、
うろちょろしたらいくら目立つ髪でも分からん。
[弓を得手とする彼女は獲物を射んとすれば高所を取る。
近接武器を操ることが増えたエドルファスと
鎮圧軍との接触で出会うことがなかったのはまだ分かるが、
砦内で探しても見つからぬとはどういうわけか、と渋い顔。]
避けられてんのかな……
[まさかな、と。
何も言えず消えた上手紙すら書きはしなかったけれども、
それは事情は違えどディーンらへも同じことで、
別にだからといってどうというわけでもない。
6年前に別れたきりの、同い年の知己を探して翠色の瞳を人波に彷徨わせる。]