――朝。宿の個室で。>>192レト
そ……!そうズラ!
嘘つきは……嘘つきは……うう……。
[美人なのは嘘じゃない、と面と向かって真顔で言われてしまえば>>193エルフは顔を赤くしたまま口籠ってしまうのでした。
嘘つきは人面樹になる、とこのエルフに教えたのは村の長老の一人です。エルフの里では子供を作るかどうかは長老たちが話し合って決め、生まれてきた子供は森の子として里全体で育てるのです。なのでこのエルフ自身も、自分を生んだ母親が誰だったのかを知らないのでした。
愛されたという記憶に乏しいエルフにとって、恋や愛というものは最も理解に苦しむ感情なのでした。]
そうズラ。リヒャルトは前に一緒のぱーてぃーにいたプリーストだズラ。もんげーいい人なんだズラよ?
ん……そうなんだズラ?
[好きがわからない、と不安を打ち明ければ彼はエルフを否定しなかったのでした。悩みをわかってもらえたのは嬉しかったのですが、依然として耳はしょんぼりと垂れ下がりました……けれど]