― 宿屋玄関・回想 ―
「それなら僕がローズマリーのお茶を持っていくよ。
確か在庫があったよね?」
[鎮痛剤を所望するニコラスへ、ひょっこり顔を出したゲルトが声をかける。
具合が悪そうに見えるニコラスから視線を外し、ゲルトに軽く頭を下げた。]
よろしく頼む。お茶はいつもの場所にあるから。
[”了解。任せてー。”と頼もしく請け負って厨房に消えたゲルトを見送った直後、ニコラスへ心配する視線を向けた。]
無理はしない方がいい。お大事に。夕飯の時間になったら一応呼びに行くけど、食欲がなければ遠慮せずに言ってくれ。
[少しの間を置いて、ニコラスが選んだ部屋のドアをお盆に注文のお茶を乗せたゲルトがノックする。]