ー回想:レストランー
え?分かるの?
[植物関係の仕事を?と、声をかけられたのは、ソマリと話していたときだったか、それとも別れた後だったか。
人間、自分から発せられる匂いには得てして鈍いものだ。
例にも漏れず、全く気付いていなかった自分も、きょとんと首を傾げる。
ブーツが土で汚れているのは、もはや慣れ過ぎていて日常の一部となっていた。
長靴とか作業靴を使えばいいのは分かっているけれど、制服同様外に出るときに履き替えるのが面倒で、ブーツで作業するのが常だったのだ。
だから、目の前の青年は、なんていうか……するどい観察眼をもつ探偵のようにもみえたりして……。]
うん、そうなのよ。
レストランと同じ区画でね、花屋をやってるの。
植物関係は広く扱っているから、薬草なんかも揃えてるわよ。
[にっこりと営業用すまーいる。
お客様の獲得に、手は抜きません。]