[ 川が流れつく先は、里の人々が山の入り口として山神を祀る祠の辺り。
霊的な境界でもあるその場所には、既に気を逸らせたらしい小鬼の姿の小怪が、祠を壊そうと群がっている ]
浄…
[ ふいに川面が蛇が鎌首もたげるかのように盛り上がり、水流が意思をもって祠の周りの小鬼達を、一気に押し流す。
流された小鬼は、その水流の内に込められた浄化の気に耐えられず、次々に灰となって崩れ去った ]
弱いものほど、影響が早い、か。
[ 川面の水をまるでそれが硬い床でもあるかのように踏んで立った漆黒の男が、手にした剣を振れば、その刃から散った水滴が白い霧となって辺りを覆い尽くした ]
封…
[ それは並の妖魔なら触れただけで身を滅ぼす浄化の力を持つ霧であり、この先、この場で起こる筈の人の世の理を外れた討伐の様を、万一にも里人の目に触れさせぬための封印でもあった* ]