― クロノス ―
[道中、見慣れぬ帽子姿を「なかなか似合うわよ」などと
揶揄い過ごすうち、クロノスへ至る。
馬車から先に降りた小柄な背が、振り向いて手を差し伸べる。
エスコートめいた自然な所作に、何とはなしに躊躇を覚えながらも
大人しく手を預け、歩き出す>>204]
マーケット…、いいわね。
普段は――こうやって街に出ることもあったのだけど、
自分の用事で出掛けることはなかったから、新鮮。
[市井を知る意味で下町や市場に足を運ぶこともあったが、
多くは観劇や社交のためだ]
――ねぇ、あなたは?
長い長い時間を、どんな風に過ごしてきたの?
[目深に被った帽子でも、フードの時よりは視線が合わせやすい]