[「クララさんに」、とペーターが言うのを聞く>>203。つまり用事があるのは図書館や本ではなくクララだということなのだろう。
ペーターがその手を図書館の扉に掛けるか掛けないか、その時。
鋭い声でペーターを制止する]
待った!ペーター、ストップ!
[ペーターが振り向いたならば、ディーターは穏やかな笑みで彼を見ていたはずで。
ペーターに大股で歩み寄るとポケットからハンカチを取り出し。
まだ涙の乾かぬペーターの目の部分を軽く拭き]
レディに会いに行くってのに、そんな目で行く気かバカ。
……うし、綺麗になった。
[そう言って。行って来いとばかりにペーターの背中を押し。
ペーターが図書館に入れば、彼は踵を返して浜辺の寝床に戻る。
この程度の風なら、流されはしないという予測があった**]