― 回想・士官学校卒業を前にして ―
もうすぐこの部屋ともお別れなんだなぁ…
[ 自分のベッドの上でだらだら、足をぱたぱたとさせて。
さも居心地よさげに転がる。
ルームメイトは勉強でもしているのか、机に向かって無言だ。
――ノトカーは無神経なようで、敏感なところもある。
何となく分かってしまう、ということが多いのだ。
妹の婚約者をどうにも好きになれないことや、
長年、ほとんど話した事のなかったカサンドラの
心の奥底に沈む、孤独感のようなものに惹かれたこと。
このルームメイトは、何かをずっと探しているような。
どうやら公国出身であろうこともなんとなく察していた。
勿論、口にすることはなかったが――。 ]