― バルコニー>>185 ―
[足音には気付いたが、転調の後のメインメロディは、この曲の一番良い所だ。
きっと訪問者も待ってくれるだろうと、そのまま歌い続けていたら]
ひゃ!
[頬の傍に出現した黒羽根に、すわ血親かと声をあげた]
……ジャンさん。
[彼が名前ではなく、大鴉と呼び始めたのは、シルキーとジャンが共に居たあの辺りからだ。
シルキーと共にいた……ということから、彼がなぜ名前で呼んでくれないのかは、うっすらと推測がつく]
……ええ、まあ。
夢と現実と、
どちらの方がマシかは、人それぞれでしょうが。