[近付くにつれ、男の名を、息子達の名を呟く声が聞こえて来る。懐かしい声。けれどそれ以外の言葉は紡がれず、三つの名を繰り返すばかり] ぅ あ、 あぁあ、[魔の戯れの声>>192は聞こえているような、そうではないような。左手を胸の辺りで握り込み、言葉にならぬ葛藤が呻き声として零れた。手を差し伸べながら近付いてくる妻との距離は後僅か。傍らでは男の葛藤を汲み取り、刃を振るうかを迷う副官が居る]