突然こんなことを言われても、恐らく信じてはもらえないと思いますが……
[語る理由はそのような文句から始まった。フリーデルは真剣な眼差しで、淡々と言葉を繋げる。それは、何かから逃げるようですらあって]
……「コルネリアス」の家系は、……呪われて、いるんです。
私の知る限り、人狼と人間の戦いは歴史の影で、数百年前から、幾度と無く行われたと聞いています。
人狼に滅ぼされ、廃墟だけが残った村も、語られぬだけでいくつもあると。
人狼の脅威に対抗するために、人間は色々な方法を取ったとも。
人間と人狼を見分ける事のできる能力者を見つけ、重用したり。
人間の死体と人狼の死体の鑑別を行う能力を開発したり。
…………コルネリアスの家系も、そのようなものの一つです。
[一旦ここで言葉を止めて、自分も先ほど持ってきていた紅茶を一口。]
……身体が温まりますね、これ。
[柔らかく吐かれるため息は、話の内容とはあまりにも不釣り合いに優雅で、自然で]