ー潮風の部屋ー
[その名の通り、自分の部屋は海に面している
切り立った崖はちょっとやそっとでは昇ってこれないような高さ
ショルダーバッグから取り出した数冊の歴史の本
其れを崖下海にめがけて放り込む
空中で舞う。まう。本が舞う
ばらばらっとページが風圧でめくれるも、やがて昏い海の底
ばしゃん!と音を立てて沈んでいく]
おばあさま――これで、良いのですよね……
[きゅ、と手元の日記帳を抱きしめ呟く
夜の海は只管黒く。星が綺麗に瞬く空とは対照的であった
星を纏わせる月は蒼く澄みつつ輝いており
この光景だけ見れば幻想的。何か不思議な事が起こりそうな予感がする
吐息を1つだけ零せば窓を閉じる
ぱたん、と心まで閉じてしまえといわんばかりに]