―16年くらい前―[あれは、確か、5,6歳の時だったか。長引く流行性感冒の後、高い熱が治まらず。往診に来てくれた医師の提案で、暫く入院することになった。黒髪の男は、親友の医師の診断を疑うはずもなく、母も、診療所と家からは出さない、という条件の保証に頷き。熱に魘されることと、家から離れての心細さに、最初は、早く帰りたいと泣いていたけれど。ゲルトも自分も、金に近い髪の色の為か、並ぶとまるで、兄妹のようだと笑ったのは、医師だったか]