─ 氷竜軍・軍営 天幕 ─
[怪我による昏睡から目覚め少しして。
きちんと食事も取れるようになり、体力も回復、事後処理の雑務にも関われるようになった頃。
私と入れ替わるようにしてジーク殿が治療しきれていなかった傷と過労により倒れてしまった。
彼が進めてくれていた雑務は私が引き継ぐことになり、当人はしばしの安静を余儀なくされる。
私は、彼がしていたように雑務の合間に彼の天幕を訪れるようになっていた]
全く……貴方の方が無理をしていたんじゃない。
[眠るジーク殿の傍らに座り、小さく息を吐く。
水で濡らした布を軽く絞ると、彼の額へと静かに乗せた。
左肩にまだ負荷はかけられなかったけれど、このくらいならば何とか出来るよう。
僅かに走った痛みに小さく眉根を寄せた後、深呼吸してそれを紛らわせた]