[流れる霧の中を、ナールは迷いのない足取りで歩いていく。
他の戦場を放置してここに戦力を集めるのは、魔王がその命を欲する相手がいるため。
人間の軍の指揮官であり、希望の灯である、ということは魔王には関係ない。
ただその命を無残に散らさなければ、人間ごときに傷を受けた屈辱は晴らせそうにない。
ナールの背の上で、魔王は右手に魔力を凝らせる。
それは烈光となって右手を覆い、さらに長く伸びて槍のような形となった。]
ロー・シェン。
また会えるのを待ちわびていたぞ。
[炯と輝く目で、太陽の申し子を見据える。]*