― 街道 ―
[混成軍とはいえ、数で押している魔軍。
そろそろ敵方にも疲労が見えてきた頃合いだろうか。]
レト……レト・ヴィオレンツァ!その名、覚えておく!
真の王に付いていればよかったものを!
[的確に鎧の継ぎ目を狙った斬撃だったが、それは見事に受け流される。
指揮能力だけでなく、剣技にも長けるのか、と評する。
馬を横に飛ばし、その剣を避けようとするが……
不自然にその動きは止まる。
クレステッドの顔には、何かを思い出した時のような軽い驚きの表情が浮かんでいる。
レトの放ったサーベルは、クレステッドの身体をすり抜ける。レトはその事実をいかなる表情で受け止めるだろうか]
……しまった、忘れていた。
[クレステッドは彼の兵を手で制しつつ、号令をかける。]