ー第2エリア側、メイン・サロン前ー
[先程からメイン・サロンに入らず、男は変わらずボーッと考え事をしていた。
次に標的であるクレメンスと顔を合わせるまでにやっておくべき事、死んで悔いのないようにしておかねばならない。
妻を死なせてしまったという最大の後悔は既にあるけれど。]
(で、さっきから感じるこの視線はなんだぁ……?)
[考え事をしていながら何者かの視線は感じていた、伊達に100年近く生きていないという事だ。
そして視線の主を確認すべくそちらへ振り返ってみたところ、不審なものを見る目で見知らぬ青年がこちらを見ていた。>>184
メイン・サロンを目の前にしながら中へ入ろうとしない男の姿を見たら、そんな視線になるのも分からなくはない。]
なんだい兄ちゃん
俺になんか用でもあんのか?
それとも変な野郎がいるから観察してたとか?
[望まずとも長く生きてきた影響か
男の外見年齢と然程変わらない歳に見える青年を兄ちゃんなんて、まるでおっさんが青年を呼ぶ時のような言い方になってしまった。
そこを気にされるかは分からないが、気にされたら気にされたで事情は軽く話すつもり。
とりあえず、今はこの青年の言葉を聞こうか。*]