―帰り道―
[肩を落とし、道を歩いた。
何をしたわけでもないのに、酷く疲れていた。
頭の中がぼんやりとして、そのくせ嫌な感じだけは薄れてはくれない。
胸に手をやれば、心臓の音がする。
どくどくと脈打つそれは、「正義の血」が流れる音だ。
誰にも会いたくなかった。
誰かに会いたかった。
使命を果たしたかった。
全てを投げ出したかった。
正義の血に従い、勇敢な戦士になりたかった。
何も知らない幼子のように、泣き喚きたかった。
この島が、嫌いだと思った。
それでも、この島を、皆を助けたいと思った。]