― ジムゾンと宿まで戻る道中 ―
[数年前まではアルビンは教会には足繁く通っていた。ジムゾンの事を神父様と呼び慕っていたようだった。
ジムゾンには村を出る事を伝えなかった。その必要が無かったからだ。ただ旅に出る直前に教会へと寄った。アルビンの背負っていた荷物の量を見てジムゾンは何か察しただろうか。
村に帰る度に教会には行ったが顔を合わすだけだった。こうして話しをするのは久しぶりなような気がした>>166。]
ちょっとね、旅にね。
…俺の母は元々行商人でした。その真似をする様に俺も行商人になったんですよ。
今年は南の方まで商売に行って来たところです。
神父様の方はお変わりなく?
[普段は口にしない母の話しを交えて近況を伝えた。こんな時だからこそ敢て他愛もない会話を続ける。気を紛らわせようとしたジムゾンの意思を汲取るように。**]