[「君、何ていうか名前なの?」とドラは言った。>>174]
(……優しい声だな。)
[俺が喋れるとは思っていないのだろう。答えを求めていない問いかけだったが、俺はのろのろと目をひらく。
女……いや、ドラと呼ぼうか。ドラは少し微笑んで、俺の頭を撫でてくれた。
俺は昨日見た、背中の大きな傷を思い出す。]
(それを癒すことは俺には出来ないが……それでもドラは笑うのだから。)
[そんな、強い女の頬をベロリと舐めた。
「きゃ!」と驚いた顔をするドラに、してやったりと、一鳴きし、俺は姿を変えるために部屋の扉からでたのだった。]