俺は誰の希望も奪わない悪党でありたかったんだけどよ。
もし失敗して、誰かの希望を奪っちまったなら、俺はそいつの手にかかって死ぬってずっと決めてたんだ。
七年も前に失敗してるとは思わなかったけどな。
そういうわけで付き合ってもらった。悪いな。
下手すると人狼とやらに食われちまうかもしれねえっていうこの状況なら、それは急がなきゃいけねえし。
俺の美学に付きあわせちまったことは申し訳ねえ。
けどな。
もう1回書くけど、アンタは誰も殺してない。
これを読んだら全部忘れちまえ。
殺し方も、生暖かい血も、手の感触も、全部だ。悪党が一人自殺しただけだ。
それと。図書館の主のアンタなら知ってると思うが。
相手を人狼だと信じて殺して、失敗した、って見せかけた奴も確かに居るらしい。
人狼だと信じて殺したってんなら、アンタを心から責められる奴はいねえ、はずだ。
アンタが持ってきてくれた本が正しけりゃだけどな。