[風邪が治るまで、言葉に甘えて夫婦の世話になった。借りた寝台に横になっている魔女の傍で、娘のキアラが、キャッキャと楽しそうな声をあげている。見ればちいさなてのひらが、もうひとつのちいさな手のひらに重なっていた。つながれた手が、娘の笑顔に合わせて揺れる。「ママぁ、あったかぃ」舌足らずにしゃべる娘に、よかったぁわね、と返す。あたたかい手が気に入ったらしく、娘はその家にいる間、ちょくちょく“彼”の手のひらに指を伸ばしていた]