― トルーン方面 ― >>191
[ 打ち鳴らされる盾の音にも歩兵が気をとられる様子はない。しかし投網を持つ敵兵が回り込む動きを見せると、その姿を確かめるように、じりじりと鉄の獣は身を回転させた。そして、包囲が完成する直前、最も守りが薄いと、最右翼の指揮官が判断した方向へ向けて、重い地響きを立てて、獣の牙たる鉄の槍が襲いかかる。 ]
[ 鉄槍の恐怖に負けぬ王国軍の勇士達が仲間を救おうと石を投げ、網を槍衾に絡め、縄を引いて足をかけ奮闘すれば、盾を落とし、槍を手放す兵もある。
やがては密集隊形の一部が崩れる時も来るのだが、そうなれば、槍や盾が無くとも、鍛え抜かれた肉体そのものを武器として、暴れまわる個々の獣と再び対峙することになる。* ]