[剣呑なものを感じていた。祖父に伴われて訪れたフェリシア王宮は、今から平伏しようとする国とは感じられなかったのだ。何かある、と控えの間から抜け出して港の方角が見える窓から身を乗り出していた時、その男に声をかけられた。>>140] 俺を迷子と間違うおまえの方が世間知らずに思えるぞ。[ほどなく近衛が探しにきて、こちらの身許は知られてしまったが、男は相変わらず駘蕩とした雰囲気をまとったままだった。違和感の原因はこの男か。否であり、非ではなく。]