[おもむろに懐から取り出したのは、握りこぶし二個分程度の大きさの小さな、袋。もぞもぞ蠢く怪しげなそれの中身は餌として使うミミズだ。
鳥を呼ぶ餌にもなるので、物置の隅に置かれた大きな瓶の中に掴まえては放り込み、厨房から貰う野菜くずと古新聞紙を餌に飼って増やしているなんて話は、嫌がるものも居るので一部以外には内緒の話]
[釣り糸を張り直し、砥ぎ直して来た銀色に光る針を付け替え餌となるミミズを付けて、当たりを知らせる鈴を取り付ければ準備は完了だ。適当なポイントに放り込んで、後は待つだけ。
途中適当に拾ってきた木の枝を地面に刺して組んで作った即席の竿立てに釣竿は任せて、その間自分は数日前に辺りに仕掛けた投げ込み式の罠の回収に向かう]