― 回想・或る日 ―[あの夜じっくりと眺める暇のなかった妖精と動物達の箱庭は、そっと覗く度賑やかに動き出し、目を愉しませてくれる。飴細工らしき色とりどりの妖精達を美味しく戴くべきかどうかの判断は、無期限の保留にしておくことにした。自分にもよろしくと言付けてくれた彼を、直接訪ねようかとも思ったが。ふと、悪戯心が頭を擡げた。――明くる日、主からの正式な返礼>>1:758に添えられ、二人の部屋へと届いた菓子箱の中には。数夜で溶け消える、氷細工の純白の菖蒲が二輪*]