あ、そうだ。[梅の枝がまだ王子の手にあったなら、ちょっと貸して、と願い。 胸の前に捧げ持つようにして目を閉じる] 花は遠からず散ってしまうものなれど。 咲き誇れるその間は、力となれますように。[花と蕾をそっと包み込むようにして、迷いの森が織り成すものの一部を真似た微風を絡める。 砂金散る深緑の石がチリリと小さな音を響かせた]