[思い出されるのは、先程のメイン・サロンで交わした会話。
最初のバイオリンを焚火に放り込んだ話をしたときのこと。
多分自分は、怒られるのを知っていてそれでも話さずにはいられない子供のような――あるいは、もう少し臆病で卑怯な心がどこかにあったかもしれないけれど――そんな顔をしていたと思う。
返ってきた言葉は、本当に、予想外のもので。>>5]
――…
ああ、暖かかった。
[言葉だけなら皮肉とも取れる言い回しかもしれないけれど、そのようなことを思うはずもなく。>>5
その声が、じわりと、その時の温もりを思い出させる。
あのとき、火を囲った二人とも、知っては、いた。
本当の最後が近いのだと。
明日になれば、すべて、終わってしまうのだと。
それでも、だからこそ――忘れられないほどに。]