― ツィーア内部 ―
[モーザック砦を陥落せしめたのち、魔王が居城から姿を現さなかったのは、聖光による痛手を癒していたから、というばかりではない。
この砦攻めで配下の軍がずいぶんと目減りしたのは理解していた。
最終的には己のみあれば人間の都一つ程度落とせるが、いちいち手を下すのも面倒だ。
ツィーアの破光で都を海の藻屑にするにも、餌が足りていない。
面倒といえば、この地にあるという祓魔剣も気にかかるものだった。
モンテリーの王族を捕えた折、王家に伝わるその剣の伝承も得た。>>1:68>>1:87>>1:154
王族の女が零したのを耳ざとく聞いた紫毒のものが、毒と苦痛で引き出した情報だ。
嬉々としてその伝承を伝えてきた紫毒の若者には褒美をくれてやったが、それももう死んでいる。]