[己が見つけた原石、研磨した宝石。
財とした彼を持ち帰ったのは、古城であった。
天獄に聳えた城塞ほどには堅牢でないが、高い居住性を有し。
魔界においても辺境の地であるのか、古城以外に建築物は無く。
腕に伴う彼に、ひとりかと聞かれれば、首は縦に。>>196]
君の想像する営みとは、些か異なるものだろうがね。
―――…下僕を使っていた時期もあったが、
私を満足させることは終ぞ出来なかった。
[彼が己に下した評価は正しかった。>>192
子供が玩具に成すように、遊んでは飽きて捨ててきた。
他者に満たせるのは余暇のひととき、刹那の時だけ。
己は永劫満ちることは無く、充足を知らない。
――――― そう、思っていたのだ。彼を知るまでは。]