[集落に残っていた者は皆命を奪われてしまったけれど。春が来て、此処に戻ってきた彼らを、このままでは自分が殺してしまう。そんなのは嫌だ、でもどうすれば良い。あの時苦しみ、後悔、絶望をどれ程積み上げただろう]…あの時主様が来てくれへんかって、あのまま妖になってたら。…怖くて想像も出来へんな。[呟きは無意識、声音も小さなものでもあったけれど。それを耳に留めるものが居れば、どんな思いを抱かせるだろう。ふと、暖かな陽気とすれ違ったように思えて振り向いた**]