──── 回想 メイン・サロン付近 ────
[ 私が背中の印を見せた時、
ご主人が背中越しに息を飲んだことは伝わった。>>109
"あのひと"というのは誰の事だろう。
あの黒服の男達だろうか。
………いや、違う。
貴族達は直接奴隷の前に出向く事などしないだろう。
────これは私が考えても仕方のない事だ。
外したボタンを留め、主人の方へ向き直る。 ]
お見苦しいものをお見せしてしまいました。
[ 信じてもらうためとはいえ少し乱暴だった。
焼印は見て良いものではない。
それまで貴族から受けた傷跡もあっただろうし。
だから、それを"見苦しいもの"と表現して頭を下げた。 ]