― 城内 ―[城の中を訪ねて歩くうち、浴場で見かけた蔦が足元を横切った。横切っただけではなく、どこかをついついと指し示している、らしい。] ……? ………?![蔦が向く方向を見ると、白く丸くてふわふわしたものがいた。階段の一番下の段に取り着いて、もそもそじたじたしている。] 上、行くのか?[それがまさか探している相手だと気づかず、つまみ上げようと、ひょいと手を伸ばした。]