― 現在:Nルーム付近 ―
[マーティンを探そうと、Nルームを出る。
確かソマリの話では、通信機が第2エリアに落ちていたということであったから、とそちちの方向へと足を向ける。
メイン・サロンを経由して、第2エリアへ向かおうと考えていたときであったか。
―パァンッ
と、どこか小気味よい弾けるようにも感じられる、……しかしこちらへは届くか届かないかという小さな音。>>194
性能のよい銃は、仮にサイレンサーがなくとも、撃った際の音もかなり軽減されることは知っていたが。
銃声としてはあまりに小さかったため、気のせいかもしくはと類似音かと、巡考した。]
……なに、今の音?
[ポツリ、と呟いた言葉は、訝しむ様な、困惑するような響きを纏っていただろう。
聞こえた気がしたのは、丁度歩んでいる進行方向。
警戒をして、伺うようにゆっくりと進む。
その先に自分の探していた男>>148 がいること、そしてカレルが銃弾を放ったこと>>193 は、まだ知らない。
流石に、その後も銃声が続くならば、その足を速めることになるだろうが。
……今はまだ、万が一を想定し、ナイフの柄に手をかけるのみ。
しかし意識的なことか、はたまた無意識の防衛反応か。
その歩みは、警戒心のあまり、普段よりもゆっくりになっているだろう。*]