[クレステッドの背中を見やりながら、間々ならぬ右腕が惜しい。
己は剣を握り、義務を果たさんと立ち向かう立場。
明らかな瘴気は物々しく、湿る重圧を場に漂わせている。
手負いの身では、足手まといになりかねない。
それを理解すると、男の行動は早かった。
口腔で呪を唱え、ふわりと動かす風精の祝福。
強化を掛けるのは慣れた自身の身にではない。
クレステッドの肢体に、風の加護を与えた。
彼の手足に絡める風は、運動性能を底上げする。
怯まぬように、竦まぬように、魔を打つ一刃と使わんが為。]
君を使うぞ、クレステッド。
その献身を示せ。