― 霊王の領域 ―[どこかもやもやした思いも、幾度も重ねられる交錯と、決着が近付くにつれどこかに置き去られていく。 白銀の背に片膝立ちで構えるシリルと、急降下と共に攻撃を繰り出すヤコブと。 手出しの出来ぬ闘い故、見守る以外に出来ることはなかったが] ――届いてくれっ[知らず、そう口に出していた][自分自身がそれを為せなかったこと、ヤコブの予想以上の成長を目の当たりにしたことによる口惜しさはあったが、今は遠い先達に何かひとつでも示せるものがあることを願った]