[こんなに話すのは何時振りだろう。きっと「先生の知るカレル」は一度たりとも…、あぁ、「チャールズ」は随分と口達者で生意気で、泣いたり笑ったり些細な事で拗ねて怒ってみたり、騒がしく賑やかな子供だった気が、する]
[一瞬だけぼんやりと、考え込んだ様はきっと目の前の彼には言葉を択んでいる様にしか見えなかっただろう]
…――けど、先生が生きているなら、何度だって先生の元へ帰ってくる、絶対に生きて戻るから、…
[声が震え擦れそうになり一度深い呼吸を一つ、しかし呼吸を整える事は叶わず、頭を垂れて、彼の両手に顔を埋める。祈る様に、希う様に、みっともなく泣き出しそうな情けない声音の侭に、続きを――]
だから、……だからどうか、俺を独りにしないでくれ…っ、
[彼の掌を、ぎゅっときつく握り締める。丸めた背を震わせ顔を隠した侭に、じわり、滲んだ涙が彼の指の背を濡らした。
…――卑怯者。
心の内で冷静な自分が自分を蔑んだ]