[ 声が止んだ後、
言葉を返すまでには暫くかかった。
彼女の決意を一笑に付すことは
さほど難しくはない。
その言葉も所詮絵空事にすぎぬと
言い放てば済む話。…だけれど。
どんなことでも、と、言う
瞳の中には本気の色だけが見えて
冷笑的な態度を取ることはしなかった。 ]
平和は祈るものではなく作るものだと?
……そう。何ともはや軍人らしい答えだねえ
安心したよ、軍部と文官の仲は悪いと聞いているから。
きみだけでもそういう考え方の人が居て。
[ 平和を維持するためなら何でもする。
そう――誰しもがそう考えるならば
ローレルとて言葉通りに"安心"出来ただろう。
そうではない。
…王を殺す人間すら存在する
平和のみを願う人間ばかりではないと
知っているからこそ"安心"など出来はしないのだ。 ]