おきて。[ ヨアヒムの頬をつんつん、と。 ]…。[ その冷たい胸に、頭を持たせかけてみても鼓動は聞こえなくて。 ]ねえ。私を好きだって言ってくれたの、ヨアヒムだけなんだ…ありがとう。そんなことも言えなくて、我侭だけ言って…ごめんね。[ 遺体が傷まないよう、窓は開け放たれている。雪除けがあるから直接風雪が入り込むことはないが、気温は外よりましなくらいか。 ]……。[ 瞬きは重くなっていく。時間をかけてとろんとろんと。 ]………。