[人の世で言葉で言うなら、初夜という行為か。
一度区切りが付いて、しばらく焦点の合わない視線を
ジェフロイに向けていた。
完全に余韻に浸る、堕ちきった表情と肢体は
堅物で仏頂面のあの技工天使の姿など、欠片も思い起こさせない。]
……嬉しい。
[しばらくして、身体の熱が少しばかり落ち着いた頃、
左側の耳に付けた加護の耳飾りが外された。>>194
耳朶に掛かる息に僅か身を震わせて。
最早加護など存在する意味を持たない。
在るのは、装飾のみ。なら拘って身に付ける必要も無い。
存在の意味を与えてくれる印を、虚無では無く
歓喜の相で受け入れ、主となったジェフロイの胸に頭を寄せた。]