『そりゃあ、記憶とか新しい魔法とか。』
……ジェムで得る新しい魔法って話か。
ん? それは合格したらの話―――
[楠の言葉が途切れた。卓上に無造作に置かれたヘルメット。男の持ち物としては派手過ぎる色とスプレーでペインティングされた物を見忘れる筈がなかった。]
……これは、刈屋か。あいつ、まだ使ってるのな。
[2年前、いや3年前の事件。
公私混ざった目的で彼の勤め先に赴いたのは6(10x1)ヶ月前だったか。]
『知り合いかね?』
仕事上の付き良いさ。
[重要参考人と警察官。
バーテンダーと客。
フリードはじと契約主を見上げ、重たい口を開く。]