― レストラン入口付近 ―
ああ、いえ。どうかお気になさいませぬよう。
[和服姿の人物の事情など、刈屋には知る由もない。
どこかぎこちなくも聞こえた謝罪の言葉>>158も素直に受け取り、やはり営業スマイルを浮かべる。
特別室は有名な人形職人が使っているらしいとは聞いていたが。
生憎刈屋は芸術に疎く。
その人形職人の連れであり、有名なドールのモデルであるなど、もちろん気づくことはない。]
お咎めするほど騒がしくはございませんでしたし、
こちらこそお気を遣わせて申し訳ございません。
窓から見える景色を眺めながらのお食事もなかなか乙なものです。
特に、黄昏に空と海を染まる頃などは
もし、よろしければ後ほどお連れ様とご一緒にお越しくださいませ。
―――では、よき船旅を。
[きちりとした一礼を残し、フロア内へと戻っていった。]