これで良しっ、と。
[ズボンの右ポケットには軍手、左ポケットには絶縁手袋をセット済み。
腰には携帯用の工具セット入りウエストポーチがぶら下がっている。
艦内のちょっとした物の修理や、今終了したばかりの電線とかの修理は携帯している物で、大体事が足りていた。
足りてなかったら工具セットとかきちんと持ってくるけれど。でもあっちは、どちらかというと艦隊修理用の道具がメインだったり。
ラジオペンチでちょん切った電線の皮膜を片付けながら、電探機器の傍にいた通信士に視線を向けた]
おっけー、多分これで動く筈だぜ。ま、動作確認は素人じゃ出来ないから、後は任せた。何か不備があれば、俺の所に来る様にクレマンソー大尉に言っといてねー。
[愛想良く笑いながら切り上げる振りをしながら、動作確認をする通信士を見守る。
ペンチをウエストポーチに戻すのと同時、通信士が『動いた!』と言うのを確認してから俺は片手をひらひらと振ってその場を離れた]
お疲れちゃーん。
[軍艦にはやがてこの手の最新技術も必要だと、熱く子供みたいに目を輝かせる父の姿をわずかに思い出したのは、ここだけの話]