[>>183嫁ぐという事かとの問いには肯定が返ってくる。
跡を継ぐ立場であるのは分かっている、との言葉が挟まれるも、少女は思考の方に気を取られていて。
考えた末の言葉に、ヤコブは少し安堵したような表情を見せる。
何故、と聞けば、彼は少しの間の後に語り始めた。
お互いに簡単な話ではない、という言い回しは当事者である事を
何もせずに諦めるのは違う、という言葉はファティの言葉が生きているのだと感じさせた。]
……それは、
[続いた言葉に息を呑んだ。
笑顔は昔と変わらず、呼び方は違う。
初めて彼の口で紡がれた本名は、新鮮な響きとして鼓膜に響いた。]