なにをしているのだ。[玉座から腰を浮かせて、魔王は苛立ちの声を上げた。たかが炎。たかが人間の作った罠である。この程度、なぜ踏み潰せぬのかと。] やはり雑兵どもなど当てにならないな。[忌々しく呟く視線の先には、先行のゴブリンどもの姿がある。柱と蔦でできた紛い物の城門に突撃しては消えていく無能ども。魔王の目に、凡百の術士が掛けた幻術など映らない。仕掛けられた時空の穴に飛び込んでいく愚物が見えるのみだ。]