― 回想 ―
しょうがないな。ぼくがとってくるからまってて。
[木の下で途方にくれるパメラを見つけた>>40ことがあった。今はセピア色になった遠い思い出。
ゲルトの仕業とは知らず、だれがこんなことしたんだよとぶつぶつ言いながらも、常日頃から木登りしていたから、簡単に取り戻すことができた。しかしそのときには、ウサギのぬいぐるみは汚れた上に破れたお腹から綿がこぼれていた。]
ごめんね。ぼくがもっとはやくきづいていれば、ウサギさんげんきだったのに。
[自分がやったことではないのに、ぬいぐるみを差し出しながら謝る。ウサギを見ていると申し訳なくて、そうせずにはいられなかった。
尤もぬいぐるみを取り返した一連の行動は、パメラに対する思いは特になかった。困っているのが他の誰であっても、必ず手を貸しただろう。そうするのが当然と思っている態度で。
その証拠に、パメラから直に指摘されれば思い出すかもしれないが、子供の頃を振り返るときに、このエピソードが記憶から掘り起こされたことはない。**]
― 了 ―